固形肥料と液体肥料
植物に肥料を与えると元気に育ちます。
人間でいう栄養満点のご飯のようなもので、与えるとお花が長持ちしたり、大きく成長したり、植物を育てるうえで大事な管理の一つです。
しかし、園芸店やホームセンターに行くと、
いろんな肥料がありすぎてよくわからない!
そんな経験はありませんか?
実際肥料1つとってみても、様々なメーカーから、様々な種類の肥料が出ています。
今回は、肥料選びのお役に立つべく、肥料の解説をしようと思います。
肥料について
植物の肥料について、まずは概要をお話しします。
肥料とは、植物の成長に必要不可欠な成分である、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)が、配合された薬剤です。
肥料には、必ずこの3つが入っています。
肥沃な土の中にはもともとこの3つの要素が入っており、植物が根で養分を吸収して成長します。
自然界では、自然の循環によってこれら肥料成分が生産されますが、鉢の中では肥料成分が枯渇し、生育不良を起こす場合があります。
そこで、成長期の時期に、株本に肥料を撒くことで、成育が促進され、丈夫で大きな植物に成長したり、お花や実を長く楽しむことができるのです。
液体肥料 vs 固体肥料
肥料には、固体と液体の二種類あります。
液体肥料は即効性のある肥料で、与えるとすぐに植物の成長を促進させます。
一方、固形肥料は緩効性の肥料で、ゆっくり溶け出して、時間をかけて効きます。
さて、この二種類の肥料を、どうやって使い分けたら良いのでしょうか??
ズバリ!
・花苗や草本系植物・観葉植物には液体肥料
・樹木、果樹、盆栽などの「木」になる植物には固形肥料
このように使い分けるのが良いでしょう。
草本系や花苗などは、生育スピードが速いため、肥料の吸収が早いのです。
また、その分肥料も必要になるため、即効性の液体肥料が効果的です。
室内で育てる観葉植物の場合も液体肥料がおススメです。
土がすぐに乾くことは無いので、ゆっくりですが根から肥料の取り込みができます。
一方、樹木の類は成長がゆっくりのため、肥料の吸いも緩やかです。
屋外管理だと、室内に比べ、土の渇きが圧倒的に早いです。
なので、液体肥料を与えても、すぐに水で流れてしまうので、大きな効果は得られません。
(もちろん、効果はある。しかし最大限の効果はない。)
表土からじわりじわりと溶けて効く固形肥料だからこそ、樹木に効き目があります。
肥料を与えるタイミング
これは樹木の種類にもよりますが、基本的には成長期、開花前、花の後、実ができた後、などに与えます。
液体肥料
・「薄める濃度を厳守!」
花苗などはお花をより長く楽しむために、液体肥料を規定量に薄めて、月に2回ほど与えます。
観葉植物も、同様に月に1〜2回ほど与えます。
この時、与える肥料の濃度は必ず守ってください!!
濃い肥料の方が効きそうですが、それは逆に肥料焼けといって、根がダメになります。
肥料焼けの仕組みは、
塩水を飲んでも、人間の体が乾くのと同じで、根の周りの環境の濃度が高くなると、浸透圧で根の中の水分を持っていかれてしまうからです。
なので、必ず希釈の濃度は守って与えてください!
・「成長期のみに与える!」
そして、もう一点!大切なことは、時期です。
冬の成長を止めている時期には肥料を与えないでください!!!
肥料は成長期にのみ与えるものです。
休眠中に与えても肥料を吸わず、土に残留して、肥料焼けを引き起こします。
・「植え替えの後、元気のない時は与えず!」
植物が病気の時や、弱っている時に肥料をやりたくなる気持ちはよくわかります。
また植え替えの後のご褒美として肥料を与えたくなりますね。
しかし!肥料とは人間にとっては、とても高級な脂の乗った肉だと思ってください。
体調の悪い時にそんな肉食べられないですよね?
お腹を手術した日に、食べられないですよね?(鉢の植え替えは、人間にとっては開腹手術と同じと言われる。)
逆に体調悪くなってしまいますよね。
いい食べ物は元気な時に食べるのが一番!
肥料も、植物が元気な時に食べさせるのが一番なのです!
弱ったり、病気になった時は、肥料じゃなくて活力剤を与えましょう!
さて、液体肥料についてまとめると。
・成長期に与える
・薄める倍率は絶対に守る
・植え替え後、病気の時には与えない
固形肥料
・「量を守ってばらまく!」
タブレット状の固形肥料は土の表面にばらまいて使います。
すると水に溶けてじわじわと浸透していきます。
あまり多く巻きすぎると肥料焼けを起こしますので、用量は守って与えましょう。
植え替えの時には、鉢の底にばらまいて使うこともあります。
普段使いでは表土に撒き、植え替え時は底に撒いて底土を作ります。
・「樹木には年4回の肥料を与える!」
固形肥料を与えるのは、果樹、盆栽、花木などの大きな木になる植物です。
特に果樹は、年に4回ほど肥料を与えます。
春先の目が動くとき。
花が咲き終わった後。
実を収穫した後。
休眠中に与えるの寒肥。
果樹はしっかり肥料をやらないと毎年ちゃんと果実ができません。ベストなタイミングで肥料を与えてください。
さて、固形肥料についてまとめです。
・用量を守って土にばらまく
・植え替えの時は土の根元の底土に混ぜて
・樹木の場合、年に3〜4回のペースで使用
固形肥料の方が、効き目がゆっくりなだけに使い方が自由です。
肥料の成分
植物の必須栄養素は、窒素・リン酸・カリウムです。
窒素は葉を作るために、
リン酸は実や花をつけるために、
カリウムは根の成長のために効果があります。
これらの栄養がないと植物は育ちません!
化成肥料と有機肥料
さらに、肥料には化成肥料と有機肥料があります。
化成肥料とは、
窒素・リン酸・カリウムが科学的に生成されて、成分のみを抽出したものです。匂いがなく、即効性があり、効き目が強いのが特徴です。
ただし、与えすぎは肥料焼けを引き起こします。長く使うと土の中のバクテリアのバランスが崩れて、土が硬くなってしまうこともあります。
有機肥料は、
上記成分に有機物が結合したもの。有機物はつまり炭素のこと!微生物のご飯です。
わかりやすく言えば、土の中に存在している、天然の状態の肥料です。
土がフカフカになり、コンディションを良い状態を保ちつつ、栄養を与えられます。バクテリアのバランスも保たれ、ローメンテナンスで植物を育てられます。
しかし、匂いがキツく、牧場のような匂いがします。(最近は無臭のものもある)
天然のものなので虫がやりやすくなるのも弱点です。
これらをうまく使い分けるには、
室内の植物には化成肥料を使用しまし、外の植物には有機肥料を使用すると良いでしょう。
肥料の効果
最後に、肥料の効果についてです。
当たり前ですが、肥料を与えると、栄養になり大きく育ちます。
人間でいうご飯なので、与えると直接成長につながるものです。
成長期に肥料を正しく与えると、体力がついて冬の休眠期も過ごしやすくなります。
私は以前肥料を与えず過ごしてしまい、冬に何鉢がダメにしてしまった苦い経験があります。。。
また、活力剤はおかずやサプリメント的な役割です。肥料では補えない栄養素を与えて、植物の体のコンディションを整えます。
動物と同じく、植物にもご飯が必要です!
皆さんも、家で育てている植物にはキチンと肥料を与えてみてくださいね!
YouTubeに内容を更新しました!
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